ぺんぎん先輩の歌姫鑑賞

邦楽女性歌手のレビューを遺書・備忘録代わりに書いていきます。個人の感想です。あなたのオススメ教えて下さい。

レビュー記事一覧

Cocco

ブーゲンビリア
「クムイウタ」    ★名盤
ラプンツェル」 ★名盤
「サングローズ」
ザンサイアン
「きらきら」
エメラルド」 ★名盤
「プランC」
「アダンバレエ」
スターシャンク」 ★名盤

クチナシ

 

GARNET CROW

「first soundscope ~水のない晴れた海へ~」 ★名盤

「SPARKLE ~筋書き通りのスカイブルー~」 ★名盤
「Crystallize ~君という光~」 ★名盤
「I'm waiting 4 you」 ★名盤
「THE TWILIGHT VALLEY」
「LOCKS」
「STAY ~夜明けのSoul~」
「parallel universe
「メモリーズ」
「Terminus」

 

■ LOVE PHYCHEDELICO

「LOVE YOUR LOVE」

 

moumoon

「15 Doors」

「No Night Land」

「PAIN KILLER」

「LOVE before we DIE」

「It’s Our Time」

「Flyways」

「NEWMOON」

 

Perfume

Perfume~Complete Best~」
「GAME」 ★名盤
「⊿」 ★名盤
「JPN」
「LEVEL3」
「COSMIC EXPLORER
「Future Pop」

 

PUFFY

THE PUFFY

 

school food punishment

「school food is good food」
air feel,color swim」
「Riff-rain」 ★名盤
「amp-reflection」 ★名盤
「Prog-Roid」

 

■ siraph

「siraph」

 

SeanNorth

「Story Neverend」

「HOME」
「LIFE O.S.T.」

 

the brilliant green(Tommy feburuary6 / Tommy heavenly6

the brilliant green

「TERRA2001」

「Los Angeles」

「THE WINTER ALBUM」
「BLACKOUT」

 

Tommy february6
「Tommy airline」
「TOMMY CANDY SHOP ♡ SUGAR ♡ ME」

 

Tommy heavenly6
「Heavy Starry Heavenly」
「I KILL MY HEART」
「TOMMY ♡ ICE CREAM HEAVEN ♡ FOREVER 」

 

ポルカドットスティングレイ

「何者」

 

 

安藤裕子

「chonicle.」
「JAPANESE POP」
「勘違い」
「グッド・バイ」
「あなたが寝てる間に」
Kongtong Recordings

 

鬼束ちひろ

 

 

熊木杏里

「殺風景」
「無から出た錆」 ★名盤
「風の中の行進」
「私は私をあとにして」
「ひとヒナタ」 ★名盤
「はなよりほかに」
「光の通り道」
「白い足あと」
「生きているがゆえ」
「飾りのない明日」
「群青の日々」
人と時」 評価:★★★★
「なにが心にあればいい?」

 

小松未歩

「謎」
小松未歩 2nd ~未来~」 ★名盤
小松未歩 3rd ~everywhere~」
小松未歩 4 ~A thousand feelings~」 ★名盤
小松未歩 5 ~source~」
小松未歩 6th ~花野~」
小松未歩 7 ~prime number~」 ★名盤
小松未歩 8 ~a piece of cake~」

 

■ 柴田聡子

「しばたさとこ島」
「いじわる全集」
「柴田聡子」
「愛の休日」
「がんばれ!メロディー」
「スロー・イン」

 

 

柴田淳

オールトの雲
「ため息」
「ひとり」
「わたし」
「月夜の雨」
「親愛なる君へ」
ゴーストライター
「僕たちの未来」 ★名盤
「あなたと見た夢 君のいない朝」
「バビルサの牙」
「私は幸せ」
「ブライニクル」
蓮の花がひらく時

 

竹仲絵里

「ペルソナ」
「Garden」 ★名盤
「Sang」
「contrast」

「Motivation」

 

 

 

湯川潮音

「クレッシェンド」
「濡れない音符」
セロファンの空」
「漂うものたち」

 

吉澤嘉代子

箒星図鑑」
「東京絶景」
「屋根裏獣」
「女優姉妹」

 

 

■ 音楽雑記

小松未歩は今どこで何をしているのか

 

■ 今日の1曲

ふくろうず「ビューティフル」

鬼束ちひろSign

柴田聡子「雑感

吉澤嘉代子「鬼」

■音楽雑記「SKE48が達成した全チームオリジナル公演という奇跡」

2023年7月15日、SKE48チームEによるオリジナル公演「声出していこーぜ!」が初日を迎えた。これにより、SKE48チームSチームKⅡ、チームEの全チームでオリジナルの新公演を完成させたことになる。このニュースは48グループの歴史を振り返るとき、その意義をより深く理解できる。

オリジナル公演の背景と苦闘

AKB48が2005年にデビューし、初期には各チームが次々とオリジナル公演を獲得していった。チームA「PARTYが始まるよ」を皮切りに、チームK「青春ガールズ」、チームB「パジャマドライブ」といった公演は、当時の48グループの活力と勢いを象徴していたと言えよう。2008年にデビューしたSKE48も同様に、2009年の「手をつなぎながら」や「制服の芽」など順調にオリジナル公演を手にしていった。

しかし、2010年頃を境に状況は一変する。制作上の都合による延期が常態化し、オリジナル公演は贅沢品のような扱いに変わっていった。この変化の背景には、シングルの増加や握手会イベント、姉妹グループの拡大によるリソース分散があると推測される。SKE48チームKⅡ「ラムネの飲み方」公演こそ延期に延期を重ねて2011年10月にスタートしたが、チームEがオリジナル公演を貰えることはなかった。結果として、オリジナル公演は「待つ」ものとなり、多くのメンバーがそれを経験することなく卒業していく時代が到来したのである。

 

2013年の東京ドームのコンサートで「新公演発表事件」があった。当時発表されたスケジュールはファンからの冷笑を浴び、チームNの公演(これも1年遅れ)以外は実現することはなかった。この混乱と停滞は、秋元康プロデュース体制の限界を感じさせるものだった。

(翌日の新聞広告)

 2016年2月10日にAKB48チームA 7th「M.T.に捧ぐ」公演がスタートするが、これが当時の秋元康プロデュース最後の公演となった。(しかしCDの音源化は達成されないままとなった。佳曲揃いなだけに非常に残念である)

他グループにあった動きについても少し触れておきたい。NGT48では2017年7月からパチンコ用に制作された楽曲をお下がりでもらった「誇りの丘」公演をスタートさせる。HKT48では指原莉乃プロデュースの新公演「今、月は満ちる」を行うことを発表しその表題曲を披露したが、結論から言うと完全に頓挫してしまったようだ。

HKT48、NGT48、STU48といった姉妹グループは未だにオリジナル公演を一つも貰えていないのだ。

 

SKE48の「新公演プロジェクト」

そんな状況を打破する動きが、2021年にSKE48から始まった。「新公演プロジェクト」の発表とともに、外部プロデューサーを迎え入れるという新しい試みがスタート。これにより、2022年から2023年にかけてSKE48の全チームで新公演が実現した。

小室哲哉プロデュースの「愛を君に、愛を僕に」公演は、かつての栄光を彷彿とさせる完成度を誇った。楽曲の質、振付、メンバーの熱演は、オリジナル公演の持つ魅力を再確認させるものだった。

youtu.be

ドキュメンタリー映像でぶつかりあうメンバーたちに、かつてのチームSのメンバーたちの姿を重ね合わせたファンも多いことだろう。そして少しずつチームとして団結していく様に、”やっぱオリジナル公演って最高だよね!”という思いをファンにもたらすこととなる。

また、NIGHT TEMPOが中心に手がけたチームKⅡの「時間がない」公演や、ヒャダインらが参加したチームEの「声出していこーぜ!」公演も、それぞれのチームやメンバーの特色が光り、多様な音楽性とエンターテインメント性を示した。やはりオリジナル公演はいい。メンバーは自分のために与えられた楽曲や衣装に生き生きとしている。秋元康プロデュースを外れたことも非常に良い形で作用しており、個人的にはシングル曲も秋元康プロデュースを外れてもいいのでは?とすら思える。

 

お待たせSet list 叶った夢 私たちに用意された素敵なメロディー

かつての新聞広告に掲げられた「全チーム新公演」という夢は、SKE48によって静かに達成された。世間的な注目度は当時ほどではないかもしれないが、劇場公演を核とする活動姿勢は揺るがない。これこそが48グループの原点であり、アイドルの魅力を再発見させる鍵である。

■今日の1曲「closer」/ GARNET CROW

■「closer」/ GARNET CROW 

GARNET CROWの「closer」という曲について書きたくなったので、ここに記しておく。

 

GARNET CROWのラストアルバムとなった10thオリジナルアルバム「Terminus」。その後のベストアルバムに「バタフライ・ノット」という新曲も収録はしているが、オリジナルアルバムを軸に活動してきた彼らだけに、今作の最後を飾る「closer」こそがGARNET CROWの最後の曲なのではないかと個人的には考えている。

アルバム自体は「trade」などの秀逸な楽曲もありつつ、楽曲の質の差が激しい作品であった。長年活動してきただけあり、過去の楽曲と似た曲もどうしても増えてきていたように思う。この「closer」という楽曲もサラッと聴き流すとよくあるバラードのように感じるのだが・・・

 

注目すべきは詞の世界観だろうか。GARNET CROWの作詞を担ってきたAzuki七は、どちらかというと「生死」を区別しない死生観を持っていたように思う。

大切なモノ傍に在る方がいい
いつか 実体なくなる(ぼくらきえる)ならなおさら
与えられた期限(とき)を愛しいモノで埋め尽くすように
何処を切り取っても……

「君 連れ去るときの訪れを」(4thアルバム「I'm waiting 4 you」より)

 

お互いにいつか死別することを受け入れ、だからこそ今の幸せを大切にしていこう…ということを、そして魂はまたどこかで巡り会うだろう…ということを、GARNET CROWは繰り返し歌ってきたように思うのだ。それが今回の「closer」ではどうだろう。

分かち合うことですべてが光になるのなら この暗闇はなにかな

Vlook more lyrics @ http://www.vlooksongs.com/

 

消え行くものの彼方にすべてが出逢えるなら こんなに寂しいのはなぜかな

分かち合うことですべてが光になるのなら この暗闇はなにかな

 

今まで受け入れ、覚悟してきたはずの別れがこんなにも辛いものだったなんて。これまで力強い楽曲を歌ってきたGARNET CROWが、とても弱い、人間らしい部分を見せているのである。”涙流さぬよう遠回りする道”というフレーズは否が応でも「廻り道」の歌詞を思わせるが、その「廻り道」で感じられた前向きさが、この「closer」では消えてしまっている。だからこそ、夕暮れの木立に飛び去る影にまで期待を抱いてしまう。次の世界ではなく、この世界でまた君に会いたいと。

 

 

そして、もうひとつGARNET CROWが絶えず発信し続けたメッセージは、”愛は与えるもの”ということではないだろうか。

何かを求めるとか 形あるものじゃなく
ただ好きでいるそんな風にいれたらいいなって思う

「忘れ咲き」(4thアルバム「I'm waiting 4 you」より)

 

愛されることや、相手に届くかどうかではなく、ただ自分が想い続けることの尊さを様々な楽曲で歌ってきたのだ。ところが今回は冒頭から、”今をどんな風に生きてゆくとしても届かないけど” という、らしくない弱さを見せているのだ。

 

GARNET CROWが最後に見せたこの”人間らしい部分”と、バントの解散という事象が合わさり、この曲は過去の楽曲にも匹敵する名曲になったように思う。

■「BADモード」/ 宇多田ヒカル

■「BADモード」/ 宇多田ヒカル 評価:★★★★

 

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01. BAD モード
02. 君に夢中
03. One Last Kiss 
04. PINK BLOOD 
05. Time
06. 気分じゃないの (Not In The Mood)
07. 誰にも言わない
08. Find Love
09. Face My Fears (Japanese Version) / 宇多田ヒカル & Skrillex
10. Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー
Bonus Tracks
11. Beautiful World (Da Capo Version)
12. キレイな人 (Find Love)
13. Face My Fears (English Version) 
14. Face My Fears (A. G. Cook Remix)

 

 

宇多田ヒカル8thアルバム。近年のアルバムはどの作品においても彼女の凄みを見せつけてきたが、今作でより一層凄まじいレベルの作品に仕上がっている。日本のトップアーティストだけあって様々なドラマや映画・ゲームのタイアップがついているが、そんなものお構いなしといったばかりにジャンル分け不能、新たな音楽性を次々と開拓している。歌謡曲的な要素はかなり減退しており、R&Bやハウス、エレクトロ、アンビエントな要素を随所に感じられる。

 A.G. Cook、Floating Points、小袋成彬との共作が多く、特にアレンジの面で驚くことが多かった。全米デビューアルバムの「Exodus」で本来やりたかったことを、より高いレベルで昇華させたようにも思える。そしてサウンド面だけ浮くことなく、存在感のある歌唱と調和し、お互いを惹きたてあっている。

 個人的には切れ味の鋭い強烈なメロディの楽曲も好きなので初めは少し残念だったのだが、アルバムトータルでの世界観が統一されており、じわじわと深みにハマっていくような良さがある。既発曲も多いが、他の楽曲と並ぶことでより魅力を増しているように思える。

 

youtu.be

 

1曲目の「BADモード」がとにかくよかった。アルバムの中では比較的キャッチーな楽曲であるが、”BADモード”な世界において人を想う気持ちをストレートに綴った楽曲だ。アルバム全体的にダンサブルな要素はあるが、この楽曲が最も多幸感に溢れているだろう。「君に夢中」「One Last Kiss」といった中盤の配信楽曲も、この流れで聴くと改めて良さをしみじみと感じる。

8曲目の「Find Love」イントロがとにかく印象的であるが、淡々としたハウスポップな音と共に内省的な世界が広がっていくのにはグッと惹き込まれる。9曲目「Face My Fears」はクラシカルな入りから、次第に盛り上がりを見せていき、Perfumeをより狂わせたようなフューチャーベースな展開を見せる。かなりぶっ飛んでいる。

これでクライマックスかと思ったが、ラストは11分超えの超大作「Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー」で、これが本当に凄かった。曲自体は大きな盛り上がりを見せることのない映画のエンドロールのような雰囲気なのだが、10分を超えても延々と聴いていられそうな中毒性は、まさに今作の象徴とも言えるような気がする。

ロンドンに居る君と、パリに居る私、マルセイユ辺りで会おうよという世界観にもほっこりとしてしまう。1曲めの「BADモード」もそうなのだが、このパンデミックによって制限された世界が無事に終わることへの願いのようなものが込められているような気がする。

惜しむらくは11曲目から14曲目までのボーナストラックは蛇足であるように感じた。

 

サブスク全盛の時代、イントロや曲尺が短くないと流行らないだの、サビから入らなきゃいけないといった下らないことが言われる中で、彼女こそ孤高に自信の創作性を貫き通す歌姫である。そんな人がセールス的にも日本でトップレベルにいるというのはなんとも誇らしいことだと思う。人によって好みは様々あれど、「格の違い」を見せつけた作品であった。

■「クチナシ」 / Cocco

■「クチナシ」 / Cocco 評価:★★★★

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1. White dress
2. 女一代宵の内
3. Supernova
4. 悲しい微熱
5. ひとひら
6. 花咲か仁慈
7. ダンシャリアン
8. アイドル
9. 青葉
10. 潮満ちぬ
11. Rockstar
12. ソリスト
13. 夜喪女
14. 想い事
15. 真白の帆

(16. L・O・V・E)

 

 

Coccoの新たな挑戦:カオスと光の11枚目

Coccoの11枚目となるオリジナルアルバムは、彼女のキャリアを振り返っても特異な位置づけにある。先行公開された「潮見ちぬ」が、かつての名曲「流星群」や「Stardust」を超える爽快感を放っていただけに、大いに期待を寄せていた。しかし、実際にアルバムを通して聴くと、これまでのどの作品とも一線を画す、カオスに満ちた構成が印象的だった。

アルバムの構造としては「エメラルド」や「プランC」を彷彿とさせる、核となる楽曲と短めのインタルード的な楽曲が混在する形式だ。しかし本作のリード曲群は、これまで以上に多様性に富んでいる。「潮見ちぬ」は初期の名曲を思い起こさせる一方で、「女一代宵の内」の昭和歌謡的な雰囲気があり、予想外の一曲だ。

さらに「ひとひら」ではダークで妖艶な世界観が全開となり、「Rockstar」では洋楽的なハードロックを展開するなど、新境地を切り開きながらもCoccoらしいエッセンスは失われていない。そして、最大の驚きは「青葉」だ。ストレートな合唱スタイルの卒業ソングとしての完成度が高く、Coccoらしからぬ表現ながら、これまでの彼女の歩みを知るリスナーには深く響くものがある。

 青葉の輝き胸に染む この想いを わたしのいない世界で いつか知るでしょう 

 

アルバムの中心にあるのは、「潮見ちぬ」と「青葉」という対照的な2曲だ。「潮見ちぬ」では、一晩中泣き腫らした後の夜明けを描き、少しずつ立ち直ろうとする人間の強さが丁寧に紡がれる。特に『覚えてて 愛ってもっと優しいんだって』というフレーズは、聴く者に癒しと希望を与える力を持つ。Coccoらしくない「青葉」Coccoらしい「潮見ちぬ」という2曲こそ今作のハイライト。この2曲はアルバム全体の中で異彩を放つと同時に、作品のテーマを象徴している。どちらも歌詞に込められた熱量が大きく、彼女の真摯な姿勢が伝わる名曲だ。

そのほかの楽曲はコロナ禍の2020年にYoutube上で「おうちデモ音源」として発表した楽曲が中心となっている。全体的にダークな楽曲が多く、時間も短いためそれぞれの印象が薄くなってしまったのが残念であった。

 

ただ、これだけのキャリアを築いてきながらも、新しいことに貪欲に挑戦する姿は本当に凄いと思うし、かつてはインターネット撲滅委員会を自称していた彼女が、Youtubeで料理動画をアップすることを誰が想像したであろうか。サムネイルをセクシーな画像にして何千万回と再生されているのもとても可笑しい。これからもマイペースに歌手活動を続けてもらいたい。

 

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■「Time flies」 / 乃木坂46

■「Time flies」 / 乃木坂46  

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乃木坂46 10周年記念ベストアルバム。デビューシングル「ぐるぐるカーテン」から、28thシングル「君に叱られた」までの表題曲と、アルバムのリード曲、配信限定シングル、生田絵梨花さんの卒業ソングなどが収録されている。

 

乃木坂46はシングル楽曲が活動の中心であったため、この1枚で乃木坂46の活動の大部分を網羅していると言ってもいいだろう。AKB48が三振覚悟で様々な曲調に挑戦する一方で、乃木坂46のシングル曲はわりと優等生的な常に70~80点くらいの安定したクオリティになっている。

 

乃木坂のシングル曲は大きく分けて3つに分類される。「君の名は希望」など清純な乃木坂のイメージを体現するミドルテンポの楽曲、「制服のマネキン」などのクールで大人っぽいダンスナンバー、「ガールズルール」などのアップテンポのアイドル的な楽曲、だいたいその3種類である。

逆に言うと「君の名は希望」・「制服のマネキン」・「ガールズ・ルール」でそれぞれのタイプの『完成形』とも言えるものを初期に提示してしまったため、その後の楽曲がこれらの過去の楽曲を超えられずあまりパッとしない、世間一般に浸透するほどの代表曲がないという問題に繋がっているように思う。アルバムのリード曲兼生田絵梨花さんの卒業曲の「最後のTight Hug」も、作曲は杉山勝彦さんという安定の”乃木坂らしい”楽曲であるが、既にやり尽くした感じがしてしまう。

 

あと、乃木坂46の楽曲は歌詞がとにかく辛気臭く説教臭いものが多い。「今、話したい誰かがいる」「いつかできるから今日できる」「僕は僕を好きになる」などはその最たる例だろう。1stアルバムのリード曲「僕がいる場所」も楽曲は良いのだが歌詞があまりに残念であった。

 

文句が多くなってしまったが、最初にも述べたように殆どの楽曲は優等生的な良曲が多い。上に挙げた3曲のほかにも「何度目の青空か」「サヨナラの意味」「きっかけ」などはかなり気に入っている。ただ、カップリングや他グループの楽曲と比べると、改めて守りに徹した楽曲が多いな~と感じるのである。

 

■ 今日の1曲「Sign」 / 鬼束ちひろ

■ 「Sign」 / 鬼束ちひろ

 

www.youtube.com

「月光」「眩暈」といった名曲はもちろんのこと、個人的にこの「Sign」もかなり好きな楽曲である。オリジナルアルバム未収録、ドラマ等のタイアップもないためやや影は薄いが、カップリングだった「ダイニングチキン」含めて非常に良い楽曲である。

 

「男の子の視点から中学生の恋愛を書きたいと思った」というだけあり、彼女の楽曲の中ではかなりウブな世界観を感じられる。それでいて『今夜 君の部屋の窓に 星屑を降らせて音を立てるよ』なんていう素敵フレーズがサビで登場するのだから凄い。好きという感情をこんな詩的な表現できる中学生がいるなら見てみたいものだ。

 楽曲のテイストとしては「流星群」と同じベクトルのシンプルなバラード曲ではある。ただ、それ以上に楽しげに歌唱する姿も印象的な、多幸感溢れる楽曲である。

 鬼束ちひろは暗いイメージを持たれがちではあるが、この楽曲は暗闇の中に差し込む光のようである。癒やし、という言葉ではおこがましいくらい、浄化のパワーを持っているように思える。

 

 近年は声質・歌唱の変化、迷走ともとれるような曲調の変化などもあったが、まだまだその才能の片鱗を見せつける楽曲もたくさんある。ぜひ今後とも精力的に音楽活動は続けてもらいたい。