ぺんぎん先輩の歌姫鑑賞

邦楽女性歌手のレビューを遺書・備忘録代わりに書いていきます。個人の感想です。あなたのオススメ教えて下さい。

■「クチナシ」 / Cocco

■「クチナシ」 / Cocco 評価:★★★★

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1. White dress
2. 女一代宵の内
3. Supernova
4. 悲しい微熱
5. ひとひら
6. 花咲か仁慈
7. ダンシャリアン
8. アイドル
9. 青葉
10. 潮満ちぬ
11. Rockstar
12. ソリスト
13. 夜喪女
14. 想い事
15. 真白の帆

(16. L・O・V・E)

 

 

Cocco 11枚目のオリジナルアルバム。先行公開された「潮見ちぬ」がかつての名曲「流星群」や「Stardust」を超えるほどの突き抜けた爽快感を持った楽曲だっただけに相当期待してたのだが…過去のどのアルバムとも一線を画すようなカオスな作品に仕上がっていた。

 

核となるような楽曲と、インタルート的にやや短めの楽曲があるという作り自体は「エメラルド」「プランC」と似ているが、そのアルバムのリード楽曲がかなり多様性に富んでいる。「潮見ちぬ」こそかつての名曲を彷彿とさせたものの、昭和歌謡的な「女一代宵の内」はあまりに意外であった。ほかにはダークかつ妖艶な世界観をこれでもかと展開する「ひとひら」、洋楽ハードロック風の「Rockstar」などは新境地を開拓しつつCocco節は健在である。そして問題作は「青葉」であろう。あまりにストレートな合唱スタイルの卒業ソングに涙腺が緩んでしまう。Coccoの楽曲としてはあまりに意外ながらも、これまでに色々と乗り越えてきた彼女であるからこそ、こんなにも響くのだろう。

青葉の輝き胸に染む この想いを わたしのいない世界で いつか知るでしょう 』

子を想う母としての愛を、子どもが知るのはもう少し先の話なのかも知れない。

 

最初にも述べた「潮見ちぬ」についても少し語っておきたい。一晩中泣き腫らした夜を乗り越え、少しずつ立ち直ろうとする強い意志を丁寧に描いている。『覚えてて 愛ってもっと優しいんだって』というフレーズは多くの人を救う力を持っているだろう。Coccoらしくない「青葉」Coccoらしい「潮見ちぬ」という2曲こそ今作のハイライト。どちらの楽曲も歌詞に込めた熱量がとても大きく、素晴らしかった。

 

そのほかの楽曲はコロナ禍の2020年にYoutube上で「おうちデモ音源」として発表した楽曲が中心となっている。全体的にダークな楽曲が多く、時間も短いためそれぞれの印象が薄くなってしまったのが残念であった。

 

ただ、これだけのキャリアを築いてきながらも、新しいことに貪欲に挑戦する姿は本当に凄いと思うし、かつてはインターネット撲滅委員会を自称していた彼女が、Youtubeで料理動画をアップすることを誰が想像したであろうか。サムネイルをセクシーな画像にして何千万回と再生されているのもとても可笑しい。これからもマイペースに歌手活動を続けてもらいたい。

 

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