■「Time flies」 / 乃木坂46
■「Time flies」 / 乃木坂46
乃木坂46 10周年記念ベストアルバム。デビューシングル「ぐるぐるカーテン」から、28thシングル「君に叱られた」までの表題曲と、アルバムのリード曲、配信限定シングル、生田絵梨花さんの卒業ソングなどが収録されている。
乃木坂46はシングル楽曲が活動の中心であったため、この1枚で乃木坂46の活動の大部分を網羅していると言ってもいいだろう。AKB48が三振覚悟で様々な曲調に挑戦する一方で、乃木坂46のシングル曲はわりと優等生的な常に70~80点くらいの安定したクオリティになっている。乃木坂のシングル曲は大きく分けて3つに分類されると思う。
「君の名は希望」など清純な乃木坂のイメージを体現するミドルテンポの楽曲、「制服のマネキン」などのクールで大人っぽいダンスナンバー、「ガールズルール」などのアップテンポのアイドル的な楽曲、だいたいその3種類である。
逆に言うと「君の名は希望」・「制服のマネキン」・「ガールズ・ルール」でそれぞれのタイプの『完成形』とも言えるものを初期に提示してしまったため、その後の楽曲がこれらの過去の楽曲を超えられずあまりパッとしない、世間一般に浸透するほどの代表曲がないという問題に繋がっているように思う。アルバムのリード曲兼生田絵梨花さんの卒業曲の「最後のTight Hug」も、作曲は杉山勝彦さんという安定の”乃木坂らしい”楽曲であるが、既にやり尽くした感じがしてしまう。
あと、乃木坂46の楽曲は歌詞がとにかく辛気臭く説教臭いものが多い。「今、話したい誰かがいる」「いつかできるから今日できる」「僕は僕を好きになる」などはその最たる例だろう。1stアルバムのリード曲「僕がいる場所」も楽曲は良いのだが歌詞があまりに残念であった。
文句が多くなってしまったが、最初にも述べたように殆どの楽曲は優等生的な良曲が多い。上に挙げた3曲のほかにも「何度目の青空か」「サヨナラの意味」「きっかけ」などはかなり気に入っている。ただ、カップリングや他グループの楽曲と比べると、改めて守りに徹した楽曲が多いな~と感じるのである。