■「Kongtong Recordings」 / 安藤裕子
■「Kongtong Recordings」 / 安藤裕子 評価:★★★☆
- All the little things
- ReadyReady
- UtU
- Babyface
- 恋を守って
- 森の子ら
- 少女小咄
- Toiki
- 僕を打つ雨
- teatime
- Goodbye Halo
- 衝撃(album ver.)
前作「Barometz」に引き続き、Shigekuniによるプロデュースによる今作。前作が個人的にはイマイチだったためあまり期待はしていなかったのだが…なかなか良い作品だった。
前作、というかavexを離れて以降はかなり自由に音楽をやっている印象があり、ストレートなポップスは影を潜め、幻想的な楽曲やオルタナ的な楽曲が多くなっていた。今作もそういった彼女の信念や音楽性への拘りを随所に感じられつつも、聴きやすいポップさも絶妙に混ざった仕上がりとなっているのが特徴だろう。
それをまさに感じられるポップな序盤の3曲は嬉しい裏切りであった。ミュージカル風で楽しげな「All the little thing」、ノリの良さが光る「ReadyReday」「UtU」は初期の楽曲の残滓も感じたりする。
中盤は静かでメロウな楽曲が続くため、ここが今作の評価の分かれどころかもしれない。もちろん悪くはないのだが「BabyFace」「恋を守って」「僕を打つ雨」といった6分近い大作バラードが続くのは、序盤・終盤の良さと比べると少しダレてしまったように思う。
その中でも「少女小咄」のしんみりとしたバラードはとても良かった。ただ、どうやら5年以上前の楽曲らしく、確かに変化球ばかりの今作で唯一ストレートな楽曲である。
インタルードを挟んでラストの2曲は『進撃の巨人』からインスパイアを受けた「Goodbye Halo」と、実際にED楽曲となった「衝動」である。聴いているだけでゾクゾクとしてくるような迫力・狂気、それを表現する歌唱は圧巻である。
人気アニメのED曲となった瞬間にYoutubeも一気に300万再生以上である。良い楽曲は知られるキッカケさえあれば一気に伸びるんだなあと改めて感じさせられた。
混沌とした世の中に放った、ジャンルレスに安藤裕子の感性を炸裂させた仕上がりである。ただ、個人的にはどうしても彼女のストレートな楽曲に良さを感じているため、評価は抑えめにしておいた。かつてのストレートな音楽性、現在の作り込んだ作風、それらを抱え込んで昇華した安藤ワールドをぜひこれからも期待したい。
聴いた瞬間、まさに「衝撃」。